「食べながら痩せる方法はないの?」
「糖質制限って結局、何を食べたらいいの?」
そんな疑問を持つ方に、近年注目されているのが「ケトジェニックダイエット(KETOダイエット)」です。
ケトジェニックとは、糖質を極力減らし、脂質を中心にエネルギーを得る食事法。
体内で「ケトン体」を生み出し、脂肪を燃やしていくこのメソッドは、無理なカロリー制限をせずに減量や体質改善を目指せると話題です。
この記事では、
- ケトジェニックとは何か?
- ケトン体の仕組みと役割
- ケトン食のポイント
など、 実践方法や注意点まで初心者にもわかりやすく解説します。
目次
ケトジェニックとは?糖質を断って脂肪を燃やす最新ダイエット法
ケトジェニックダイエット(KETOダイエット)とは、糖質の摂取を極力抑え、脂質を中心とした食生活を送ることで「ケトン体」をエネルギー源とする体質に変える食事法です。
通常、私たちの体は糖質(グルコース)をメインのエネルギー源としていますが、糖質が不足すると、肝臓で脂肪を分解して「ケトン体(ketone bodies)」という代替エネルギーが生成されます。この代謝状態を「ケトーシス(ketosis)」と呼びます。
このケトーシスを意図的に作り出し、脂肪をエネルギーに変えることで減量・体質改善を目指すのがケトジェニックダイエットです。
ケトン体とは?KETOダイエットに欠かせないエネルギー源
ケトン体とは、脂質を分解することで肝臓で生成される物質で、以下の3種類に分類されます。
- アセト酢酸(Acetoacetate)
- β-ヒドロキシ酪酸(Beta-hydroxybutyrate)
- アセトン(Acetone)
通常は糖を使う脳や筋肉も、ケトン体をエネルギーとして活用することができます。つまり、ケトン体は「脂肪を使ったエネルギー供給ルート」とも言えます。
では、糖質をメインエネルギーにしていた通常の回路から、どのようにケトン体回路にシフトすればよいのでしょうか。
KETO(ケト)ダイエットの仕組みと特徴
ケトジェニックダイエットは、次のようなプロセスで体のエネルギー回路を切り替えます。
- 糖質の摂取量を大幅に減らす(1日20〜50g以内)
- エネルギー源が不足し、体が脂肪を分解し始める
- ケトン体が生成され、体内でエネルギーとして使用される
- 脂肪燃焼が促進される
このように、糖質ではなく脂質を使ってエネルギーを得ることで、無理なく減量や血糖コントロールができるのがKETOダイエットの大きな特徴です。
ケトジェニック中の摂取カロリーと栄養バランスの目安
ケトジェニックでは、PFCバランス(Protein・Fat・Carbohydrate)が通常の食事と大きく異なります。
栄養素 | 割合 | 食材の例 |
脂質(Fat) | 70〜80% | ナッツ、MCTオイル、卵、アボカド |
タンパク質(Protein) | 20〜25% | 鶏肉、魚、豆腐、プロテイン |
炭水化物(Carb) | 5〜10% | 葉物野菜、きのこ、海藻など |
脂質は高カロリーなので、「質」と「量」を意識して摂取することが成功のカギです。
上記のような食事を「ケトン食」といい、ケトジェニックの原則に基づいた高脂質・中たんぱく・低糖質の食事スタイルを指します。例えば以下のような違いがあります。
比較項目 | ケトン食 | 一般的な食事 |
主なエネルギー源 | 脂質(ケトン体) | 糖質(グルコース) |
炭水化物 | 1日20〜50g以下 | 200〜300g程度 |
主な食品 | 肉、魚、卵、ナッツ、チーズ、オイル | ごはん、パン、麺、果物など |
ケトジェニック中の摂取カロリーと栄養バランスの目安
ステップ①:糖質を徹底的にカット
- 白米、パン、パスタ、芋類、砂糖はNG
- 食物繊維やビタミンが多い葉物野菜を積極的に
ステップ②:良質な脂質を摂取
- ココナッツオイルやMCTオイルを活用
- 魚の脂やオリーブオイルもおすすめ
ステップ③:タンパク質は「中量」で
- 摂りすぎると「糖新生」が起きてケトーシスが妨げられることも
ケトジェニックダイエットのメリットやデメリット
ケトジェニックでは空腹感の低下、それに伴うストレスの低減や体脂肪が落ちやすいといったメリットがありますが、デメリットももちろん存在しますので、無理のない範囲で行うことをお勧めします。以下ではそのメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット:空腹を感じにくい
ダイエットに失敗する大きな要因として、空腹感に耐えられなかったという方も多いと思います。
ケトジェニックのメリットの一つに、「空腹を感じにくい」というものがあります。
ではなぜケトジェニックでは空腹を感じにくいのでしょうか?
空腹感の多くは、糖質を摂取した後の上がった血糖値の低下によって生じます。(下図参照)
出典:「糖尿病ネットワーク」
低糖質・良脂質の食事を推奨するケトジェニックにおいては、血糖値の上昇は緩やかになり空腹を感じにくくなるのです。
また、良質な脂質によってカロリーは十分に摂取できるためエネルギー不足になりにくいでしょう。
デメリット:体調が悪くなりやすい
糖質には体内で水分と結合しやすい特徴があります。そのためケトジェニックによって体内の糖質が枯渇すると、普段のように多くの水分の保持が難しくなり、喉の渇きを感じやすくなります。
また、ケトジェニックを始めたばかりのころは「頭痛、倦怠感、筋肉痛、吐き気、下痢」といった症状が出る可能性もありますが、これは体が主要エネルギー源を炭水化物から脂肪に変えることに適応しようとしているため起こる現象です。この状態をケト・インフルエンザ(ケトフル)と言います。
ケトン体を活用した健康的な生活習慣とコツ
まずは糖質制限を始めよう
ケトジェニックダイエットは糖質を枯渇させることで、解糖系からケトン体回路に切り替えることが大切です。徹底的に糖質カットを行うことで、早ければ2日で切り替わります。
血中のケトン体濃度が増加し、ケトン体をエネルギー源として利用する体に切り替わった状態をケトーシスと言いますが、ケトーシスへ移行するまでの約2日間は糖質を1日30g以下になるよう徹底し、移行してからは糖質を1日60g以下になるように制限しましょう。
良質な脂質を摂取しよう
糖質は人間にとって大切な三大栄養素のひとつですが、ケトジェニックにおいては糖質制限が必須であり、糖質を減らした分は脂質で補う必要があります。
しかし、脂質であればなんでも良いというわけではありません。
トランス脂肪酸が多く含まれるマーガリンや揚げ物などの脂質は、生活習慣病を高めるリスクがあるため極力避けましょう。
おすすめは、素早くケトン体を産出するMCTオイルです。
MCTオイルとはココナッツやパームの種子など、ヤシ科の植物に含まれる天然成分「中鎖脂肪酸」のみで作られているオイルのことで、消化吸収が早いうえに脂肪として蓄積されにくく、ケトン体の生成を促す研究結果も出ているため、ケトジェニックダイエットによく使用されている良質な脂質の代表です。
タンパク質もしっかりと摂取!
ケトジェニック中はタンパク質が不足しがちです。
糖質および脂質の摂取量が少ないと筋肉からエネルギーを生み出そうします。
筋肉量が落ちると、基礎代謝が落ちて痩せにくい体になってしまうため、筋肉量を落とさないようにタンパク質を「プロテイン」などで補うことが大切です。
また、運動と併せることで筋肉量が増え、基礎代謝が向上、痩せやすい体づくりに役立つと考えられています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事のポイントをおさらいすると以下の5点になります。
- ケトジェニックとは、糖質を抑えて脂肪を燃やす食事法。 体を「糖エネルギー」から「ケトン体エネルギー」に切り替え、脂肪燃焼を促進。
- ケトン体は、脳や筋肉の代替エネルギー源として活躍。 空腹感を抑えたり、集中力やパフォーマンスの向上にもつながると注目。
- ケトジェニック中は高脂質・中たんぱく・超低糖質が基本。PFCバランスと摂取カロリーを意識して、無理なく継続がカギ。
- 初期の「ケトフル」や栄養不足に注意しよう。タパク質や水分をしっかり摂って、体調の変化に敏感になることが大切。
- ケトン食を生活に取り入れることで、痩せやすく太りにくい体質へ。続けやすい工夫を取り入れながら、健康的な習慣として定着させよう。
ケトジェニックとは、糖質を制限し、脂肪(ケトン体)をエネルギーに変えることで、体脂肪の燃焼・集中力の向上・血糖値の安定といった多くのメリットを得られる食事法です。
ただの「制限食」ではなく、代謝そのものを変える“体質改善法”。
自分に合った「ケトン食」で、健康的で無理のないダイエットを始めてみませんか?
この記事を読んだ皆様が健康でありますように。